2019年02月12日
ロシア軍のメディカルキットについて
最近ゲームが無くて暇なので・・・
ロシア軍の医療品について書きました。

ソ連軍・ロシア軍のメディカルキット、АИ-2(AI-2)です。
S.T.A.L.K.E.RとかMetro2033といったゲームにも出てるんでロシア勢にとってはメジャーだと思います。
物自体は前から持っていたのですが、最近タルコフから逃げるゲームを始めまして、
そしたらこのメディカルキットがアイテムとして出てまして、
しかも使用方法が分かるように使ってくれるので大変ハラショーです。
そこで中身について調べてみようと思ったのですが、日本語の文献がありませんでした。
というわけでロシア語のサイトを見て調べたので、自分用の覚え書きを兼ねてまとめてみました。
スキマ産業的な?


メディカルキットの中身です。薬剤を入れる小さいケースが収められています。
所有のものは薬品は廃棄されていて空でした。
フタの裏にはそれぞれの薬品名と、ここには映っていませんが薬の説明書も入っています。
それぞれの薬品類の説明は下記のとおりです。
なお、振っている番号はフタの裏の説明書きと対応しています。

・① Противоболевое средство (麻酔薬)
これは出回っているものでは取り除かれていることが多いですが、
中身は麻酔薬です。
「オピドール」という麻酔薬が入っているみたいです。
このオピドールというのはモルヒネを代替する合成薬物で、モルヒネのような効用があるそうです。
広範囲の傷、火傷、骨折の場合に使用するとされています。
【2/13 追記】
Twitterにて「オピドール」の正体は「トラマドール」ではないかという情報提供を頂きました。
ありがとうございます。
これもモルヒネと同じオピオイド系の鎮痛剤でモルヒネの1/10程の鎮痛作用があるようです。
ただし単なる商品名の可能性もありますので、また何か分かり次第追記します。

・② Средство при отравлении ФОВ (解毒剤)
これは「有機リン化合物」に対する解毒剤のようです。
有機リン化合物は毒性があるものが多く、毒ガス等の化学兵器に用いられています。
「サリン」なんかも有機リン化合物の一種です。
この解毒剤はそれらの有機リン化合物が体に作用するのを防ぐ効用があるようです。
所有しているものには白いケースが入っていましたが、本来は赤いケースのようです。
持っていた兵士とかが中身を替えたりしたんでしょうか・・・

・③ Противобактериальное средство (抗菌薬)
いわゆるサルファ剤と呼ばれるものです。
スルファジメトキシン0.2gの錠剤が15錠入っています。
恐らくは負傷した時に、傷口からの細菌感染を防ぐ目的で服用するのだと思います。

・④ Радиозащитное среостоот №1 (放射線防護剤№1)
「シスタミン」という薬剤の錠剤が入っているようです。
このシスタミンには放射線の照射に対する保護作用があるようですが、
調べてみても「ソ連ではそういう内容の論文があるよ」ということしか分かりませんでした。
どうも生物が本来もっている耐放射線作用のある物質のようなのですが・・・
興味があればこの論文が参考になるかもしれません。自分は諦めた。

・⑤ Противобактериальное средстмво (抗生物質)
テトラサイクリン塩酸塩という薬剤が入っています。
かなり広い範囲の細菌に効く抗生物質のようですので、③の抗菌剤と同じような目的で使用するのだと思います。

・⑥ Радиозащитное средство (放射線防護剤№2)
いわゆるヨウ素剤というものです。ヨウ化カリウムが入っています。
放射性ヨウ素が体に吸収されるのを防ぎます。
ヨウ素剤については東日本大震災の際にTVでも結構報道されていましたから、ご存知の人も多いかと思います。

・⑦ Противореотное средство (制吐剤)
ペルフェナジンという薬剤の錠剤が入っています。
吐き気を抑える効用があるようです。
頭部に外傷を受けた際などの吐き気に対して使用するとされています。
中身については以上です。
メディカルケースの製造された年代によって中身は微妙に違うようですが、
基本的な内容は同じようです。
あと、ついでなので、止血帯、包帯についても書いておきます。

・Жгут (止血帯)
これについては割と情報を見かけますね。
ビックリするぐらいただのゴム紐です。
アフガンなんかではAK-74のストックに巻き付けている写真をよく見ます。
ソ連時代から使われていて今でも現役です。

これは端をプラスチック製の留め具で固定する「後期型」なのですが、
この小さな穴にプラスチックの留め具を入れないとなりません。
西側の洗練されたCAT止血帯なんかとは違い、どう見たって急を要する止血には向かない形です。
ただ、一回留めたら外れるということはなさそうですが・・・
ちなみに「前期型」は端に鎖と金具が付いていて、それで締めるようになっています。

・ИПП (IPP、滅菌包帯)
ゴム引きっぽい布製のパッケージに収められている包帯です。
まだ開けてみてはいませんが、ガーゼと包帯がセットになっているようです。
前述の止血帯と一緒にAKのストックに巻き付けているのをよく見ます。

・Жгут "Альфа" ("アルファ" 止血帯)
ロシア製の止血帯ですが、軍で採用されているかどうかは不明です。
使用例があったら教えてください!大手を振って装備できるので!
メーカーのホームページには国内軍っぽい格好の兵士が使い方を解説してるイラストが載っていたので、少なくともメーカー側としては連邦軍・国内軍に納入したい模様。
末端の固定方法は端をゴム紐で縛るだけになりました。
従来型の止血帯に比べて、止血の作業時間が短縮している(メーカー談)そうです。
──────────────────────────────────────
・2020/2/13追記

拾い物の画像ですが、SOBR隊員の装備と思われるものの中にこの止血帯がありますね。
SR-2MとSR-1Mが実銃っぽいので、エアソフターとかではないと思いますが…
あと何気にCATも使ってるみたいですね。
──────────────────────────────────────

・ИПП (IPP、滅菌包帯)
新型の滅菌包帯です。パッケージが布製からビニール製に変更されています。
恐らく内容物も旧型と同等の物が入っているかと思いますが、
まだ開けてませんので開けたら追記します。
タルコフから逃げるゲームことEscape from Tarkovにも、普通の包帯と違って2回使える上位互換品として登場しています。
でも実際は1回しか使えないと思います。
開封してみたところ、どうやら2回使えそうです。
【2/24 追記】 新型のIPPのほうを開封してみたので写真を追加します。

開封した様子です。
さらに透明なビニールで巻かれた状態の中身が入っていました。

バラした状態です。
緑色のパッドと巻かれた状態の包帯です。

パッドの裏面は白い脱脂綿状になっています。こちら側を傷口にあてるのだと思われます。

パッド2枚のうち1枚は包帯が縫い付けられていますが、もう1枚は自由に取り外しできる構造になっています。
負傷の程度で何枚使うか調整するのだと思いますが、これだと2回使えそうですね。
あながちEfTも適当に使用回数を決めているわけじゃなさそうです・・・脱帽。

包帯です。
全て出して測ったわけでは無いので詳しい長さは分かりませんが、かなり長そうです。

かなり網目の粗い包帯です。ガーゼと言った方が適当な気がします。
新型IPPの中身はこんな感じでした。

とりあえず以上です。
包帯に関しては開けたら写真を追加しようかと思います・・・。
少しでもロシアの同志の参考になれば幸いです。
・2020/2/13追記
──────────────────────────────────────
・ ロシアのCATめいたもの
これ自体は購入してしばらく経ってたんですけど、
いい機会なので追加しておこうかなと。

ロシアの医療品メーカー МЕДПЛАНТ (MEDPLANT)社のЖК-01 (ZhK-01)止血帯です。
もう見た目からして米帝製のCAT感がすごいですが、本家と違って最初から止血帯をまとめるためのベルクロの帯が付いてるので別途輪ゴムとか不要です。かしこい。

長さは92cmほどあります。CATと同等の長さです。
ただメーカー公称は95cmなんですけどどうやってもそんなに長さはないぞ・・・

CATと違って時間を記入するTIME帯がありませんが、代わりにこのダイヤルが付いてます。
これで時間を記録するらしいのですが、説明書を読んでも
止血帯を着用した時間に合わせます(ざっくり)としか書いてなくて詳しい使い方はよく分かりません。
数字が"時"だとすると、目盛りが3つしかないので"分"は15分刻みでしか表せないと思うんですけど逆に不便じゃないんですかね。
写真のダイヤルだと「2時45分に装着」になるのかな?
・使用方法

① 負傷部分へ巻き付けます。
装着方法はCATと大体同じです。
このZhK-01の場合は、2つめのD環が付いているので、さらにもう一回折り返して留めます。
バリエーションのZhK-02はD環が1つだけなのでCAT同様です。

② ハンドルを半回転させます。
水平方向に捻るCATと違って垂直方向に捻るのが特徴です。

③ ハンドルの棒の部分をスライドさせます。

④ ②-③を繰り返して十分に締め付けた後、ハンドル位置を中央にして固定します。
これ最初見た時はなるほど・・・ってなりました。
捻れたハンドルが戻ろうとしても体そのものに阻害されて動きませんからね。
ソ連の背嚢(メショク)の肩紐の取り付け方のようなロシア的合理性のにおいを感じます。

ロシア軍・その他準軍事組織での使用状況は不明です。
一応メーカー広報の止血帯の講習会?みたいな写真には
迷彩服の人がたくさん写ってますけど、ロシア人って私服迷彩マン多いからよく分からんね。
ロシア軍の医療品について書きました。

ソ連軍・ロシア軍のメディカルキット、АИ-2(AI-2)です。
S.T.A.L.K.E.RとかMetro2033といったゲームにも出てるんでロシア勢にとってはメジャーだと思います。
物自体は前から持っていたのですが、最近タルコフから逃げるゲームを始めまして、
そしたらこのメディカルキットがアイテムとして出てまして、
しかも使用方法が分かるように使ってくれるので大変ハラショーです。
そこで中身について調べてみようと思ったのですが、日本語の文献がありませんでした。
というわけでロシア語のサイトを見て調べたので、自分用の覚え書きを兼ねてまとめてみました。
スキマ産業的な?

(スキマ産業)

メディカルキットの中身です。薬剤を入れる小さいケースが収められています。
所有のものは薬品は廃棄されていて空でした。
フタの裏にはそれぞれの薬品名と、ここには映っていませんが薬の説明書も入っています。
それぞれの薬品類の説明は下記のとおりです。
なお、振っている番号はフタの裏の説明書きと対応しています。

(所有しているものは取り除かれていましたが、本来はこういうもののようです)
・① Противоболевое средство (麻酔薬)
これは出回っているものでは取り除かれていることが多いですが、
中身は麻酔薬です。
「オピドール」という麻酔薬が入っているみたいです。
このオピドールというのはモルヒネを代替する合成薬物で、モルヒネのような効用があるそうです。
広範囲の傷、火傷、骨折の場合に使用するとされています。
【2/13 追記】
Twitterにて「オピドール」の正体は「トラマドール」ではないかという情報提供を頂きました。
ありがとうございます。
これもモルヒネと同じオピオイド系の鎮痛剤でモルヒネの1/10程の鎮痛作用があるようです。
ただし単なる商品名の可能性もありますので、また何か分かり次第追記します。

(白いケースが入っていましたが、本来は赤いケースです)
・② Средство при отравлении ФОВ (解毒剤)
これは「有機リン化合物」に対する解毒剤のようです。
有機リン化合物は毒性があるものが多く、毒ガス等の化学兵器に用いられています。
「サリン」なんかも有機リン化合物の一種です。
この解毒剤はそれらの有機リン化合物が体に作用するのを防ぐ効用があるようです。
所有しているものには白いケースが入っていましたが、本来は赤いケースのようです。
持っていた兵士とかが中身を替えたりしたんでしょうか・・・

・③ Противобактериальное средство (抗菌薬)
いわゆるサルファ剤と呼ばれるものです。
スルファジメトキシン0.2gの錠剤が15錠入っています。
恐らくは負傷した時に、傷口からの細菌感染を防ぐ目的で服用するのだと思います。

・④ Радиозащитное среостоот №1 (放射線防護剤№1)
「シスタミン」という薬剤の錠剤が入っているようです。
このシスタミンには放射線の照射に対する保護作用があるようですが、
調べてみても「ソ連ではそういう内容の論文があるよ」ということしか分かりませんでした。
どうも生物が本来もっている耐放射線作用のある物質のようなのですが・・・
興味があればこの論文が参考になるかもしれません。自分は諦めた。

・⑤ Противобактериальное средстмво (抗生物質)
テトラサイクリン塩酸塩という薬剤が入っています。
かなり広い範囲の細菌に効く抗生物質のようですので、③の抗菌剤と同じような目的で使用するのだと思います。

・⑥ Радиозащитное средство (放射線防護剤№2)
いわゆるヨウ素剤というものです。ヨウ化カリウムが入っています。
放射性ヨウ素が体に吸収されるのを防ぎます。
ヨウ素剤については東日本大震災の際にTVでも結構報道されていましたから、ご存知の人も多いかと思います。

・⑦ Противореотное средство (制吐剤)
ペルフェナジンという薬剤の錠剤が入っています。
吐き気を抑える効用があるようです。
頭部に外傷を受けた際などの吐き気に対して使用するとされています。
中身については以上です。
メディカルケースの製造された年代によって中身は微妙に違うようですが、
基本的な内容は同じようです。
あと、ついでなので、止血帯、包帯についても書いておきます。

・Жгут (止血帯)
これについては割と情報を見かけますね。
ビックリするぐらいただのゴム紐です。
アフガンなんかではAK-74のストックに巻き付けている写真をよく見ます。
ソ連時代から使われていて今でも現役です。

これは端をプラスチック製の留め具で固定する「後期型」なのですが、
この小さな穴にプラスチックの留め具を入れないとなりません。
西側の洗練されたCAT止血帯なんかとは違い、どう見たって急を要する止血には向かない形です。
ただ、一回留めたら外れるということはなさそうですが・・・
ちなみに「前期型」は端に鎖と金具が付いていて、それで締めるようになっています。

・ИПП (IPP、滅菌包帯)
ゴム引きっぽい布製のパッケージに収められている包帯です。
まだ開けてみてはいませんが、ガーゼと包帯がセットになっているようです。
前述の止血帯と一緒にAKのストックに巻き付けているのをよく見ます。

・Жгут "Альфа" ("アルファ" 止血帯)
ロシア製の止血帯ですが、軍で採用されているかどうかは不明です。
使用例があったら教えてください!大手を振って装備できるので!
メーカーのホームページには国内軍っぽい格好の兵士が使い方を解説してるイラストが載っていたので、少なくともメーカー側としては連邦軍・国内軍に納入したい模様。
末端の固定方法は端をゴム紐で縛るだけになりました。
従来型の止血帯に比べて、止血の作業時間が短縮している(メーカー談)そうです。
──────────────────────────────────────
・2020/2/13追記
拾い物の画像ですが、SOBR隊員の装備と思われるものの中にこの止血帯がありますね。
SR-2MとSR-1Mが実銃っぽいので、エアソフターとかではないと思いますが…
あと何気にCATも使ってるみたいですね。
──────────────────────────────────────

・ИПП (IPP、滅菌包帯)
新型の滅菌包帯です。パッケージが布製からビニール製に変更されています。
恐らく内容物も旧型と同等の物が入っているかと思いますが、
まだ開けてませんので開けたら追記します。
タルコフから逃げるゲームことEscape from Tarkovにも、普通の包帯と違って2回使える上位互換品として登場しています。
開封してみたところ、どうやら2回使えそうです。
【2/24 追記】 新型のIPPのほうを開封してみたので写真を追加します。

開封した様子です。
さらに透明なビニールで巻かれた状態の中身が入っていました。

バラした状態です。
緑色のパッドと巻かれた状態の包帯です。

パッドの裏面は白い脱脂綿状になっています。こちら側を傷口にあてるのだと思われます。

パッド2枚のうち1枚は包帯が縫い付けられていますが、もう1枚は自由に取り外しできる構造になっています。
負傷の程度で何枚使うか調整するのだと思いますが、これだと2回使えそうですね。
あながちEfTも適当に使用回数を決めているわけじゃなさそうです・・・脱帽。

包帯です。
全て出して測ったわけでは無いので詳しい長さは分かりませんが、かなり長そうです。

かなり網目の粗い包帯です。ガーゼと言った方が適当な気がします。
新型IPPの中身はこんな感じでした。

とりあえず以上です。
包帯に関しては開けたら写真を追加しようかと思います・・・。
少しでもロシアの同志の参考になれば幸いです。
・2020/2/13追記
──────────────────────────────────────
・ ロシアのCATめいたもの
これ自体は購入してしばらく経ってたんですけど、
いい機会なので追加しておこうかなと。

ロシアの医療品メーカー МЕДПЛАНТ (MEDPLANT)社のЖК-01 (ZhK-01)止血帯です。
もう見た目からして米帝製のCAT感がすごいですが、本家と違って最初から止血帯をまとめるためのベルクロの帯が付いてるので別途輪ゴムとか不要です。かしこい。

長さは92cmほどあります。CATと同等の長さです。
ただメーカー公称は95cmなんですけどどうやってもそんなに長さはないぞ・・・

CATと違って時間を記入するTIME帯がありませんが、代わりにこのダイヤルが付いてます。
これで時間を記録するらしいのですが、説明書を読んでも
止血帯を着用した時間に合わせます(ざっくり)としか書いてなくて詳しい使い方はよく分かりません。
数字が"時"だとすると、目盛りが3つしかないので"分"は15分刻みでしか表せないと思うんですけど逆に不便じゃないんですかね。
写真のダイヤルだと「2時45分に装着」になるのかな?
・使用方法

① 負傷部分へ巻き付けます。
装着方法はCATと大体同じです。
このZhK-01の場合は、2つめのD環が付いているので、さらにもう一回折り返して留めます。
バリエーションのZhK-02はD環が1つだけなのでCAT同様です。

② ハンドルを半回転させます。
水平方向に捻るCATと違って垂直方向に捻るのが特徴です。

③ ハンドルの棒の部分をスライドさせます。

④ ②-③を繰り返して十分に締め付けた後、ハンドル位置を中央にして固定します。
これ最初見た時はなるほど・・・ってなりました。
捻れたハンドルが戻ろうとしても体そのものに阻害されて動きませんからね。
ソ連の背嚢(メショク)の肩紐の取り付け方のようなロシア的合理性のにおいを感じます。

ロシア軍・その他準軍事組織での使用状況は不明です。
一応メーカー広報の止血帯の講習会?みたいな写真には
迷彩服の人がたくさん写ってますけど、ロシア人って私服迷彩マン多いからよく分からんね。