2017年05月08日
I ain't no fortunate one ~俺はそんな幸運なヤツじゃない~
「俺じゃない、俺じゃない、俺は上院議員の息子じゃない、俺はそんな幸運なヤツじゃない~」
流行りのバンドの曲を弾くアメリカ兵。
ここはCu Shi Lo (クーシロ)省のTu Lui (ツ・ルイ)村、海兵隊ベースキャンプ。
今回、我々の小隊にはTu Lui 村周辺の哨戒任務が与えられていた。
高台からベース周辺を監視する歩兵。
一般歩兵のため狙撃銃が支給されないので鹵獲したKar98k小銃を使っている。
旧式とはいえ、精度の高いモーゼル小銃とカール・ツァイス社製スコープの組み合わせは的確な射撃が可能だ。
いつでもベトコンに8㎜モーゼル弾を叩き込む準備は完了している。
・・・ただ、もう少しスコープの倍率が高ければ言うことなしなのだが。
これで狙撃を行っていたというドイツ狙撃兵には頭が下がる。
「200m前方に誰かいるぞ!何かやってる!」
監視の兵から不審な人物を発見との報告が入る。
近づいてみると、農民風の男が何やら作業している。
田植えか何かだろうか。丁度時期でもある。
すると、次におもむろに男が取り出したのは黒い円盤状の物体・・・
「なんてこった、地雷だぞ、ありゃ!」
「おいおい・・・、なんだこりゃ」
ここですぐさま男を拘束すると、近くに隠されていたカバンから大量の銃火器が発見された。
モーゼルKar98kやハーネルStg44といった旧式な武器だが、手入れはよくされているようで、直ぐに撃てそうだ。
「この武器は何だと聞け!」
「北の連中に脅されて預かったと言ってます」
「嘘をつけ!さっき地雷埋めてただろうが!貴様はベトコンだ!」
「違う、ワタシ、ベトコンじゃない」
「こいつ笑ってやがるぞ、ベトナムの笑いだ」
だが、小隊の一瞬の隙をついて逃げる男。
何もなければ逃げる必要はない、逃げる奴はベトコンだ。
「野郎!ぶっ殺してやる!」
「待てよ!奴はさっき地雷を埋めていた。周りにもあるかもしれん」
地面をナイフで確かめながら慎重に進む。
「クソ、どこに逃げやがった?ここか?」
小隊の一名が怪しいトンネル状の通路を発見した。
慎重に中を確認する。
トンネルを抜けた先で再びさっきの男を捕捉した。
今度は問答無用で鉛玉をプレゼントだ。
「思い知ったか、ファッキン・チャーリーめ」
「ったく、手間かけさせやがって!」
「こんな言葉を知ってるか、死んだベトコンは良いベトコンだってな!HAHAHAHA!」
だが、一息つこうとした小隊に新たな命令が下される。
空軍の偵察によって、街道沿いにベトコンの機関銃陣地が発見され、これを排除するようにとの事だ。
指定された地点へ向かう道すがら、道に放置された瓦礫の下を調べる。
ベトコンは放置された武器、木箱や弾薬箱、両軍を問わず死体、板の下、などとあらゆる場所にブービートラップを仕掛けた。
一見何の変哲もない草地にさえも。
踏み出す一歩が、あるいは死の危険を孕んでいるかもしれないのだ。
途中にコンクリート製のサイロを発見した。
砲撃か爆撃によって上半分は吹き飛ばされて崩れていたが、下半分は健在だ。念のため調査する。
「おい、何かいるか?」
「見えねぇが、多分いないようだ」
「よし、ウィリーピートをよこせ」
こういった建造物はベトコンの拠点や陣地になる恐れがある。
念のためウィリーピート、いわゆる白燐弾で焼却することにした。
小隊は半壊した倉庫状の建物へ進入した。
この建物の目と鼻の先に、偵察情報にあった陣地があるはずだ。
「しっかり見張れよ、奴らこの近くにいるはずだ」
「よし、いいぞ・・・次に移れ」
「建物の角まで行け」
「角だ・・・角を見張れ」
「頭を下げろ」
「こっちは居ないぞ」
「奴らはいない、外へ出ろ」
「後ろは見てるぞ」
小隊は念のため、この倉庫も処分しておくことにした。
「爆破しろ!手榴弾を使え」
「手榴弾行くぞ」
「いいぞ、投げろ!」
「爆発するぞ!」
「手榴弾の音で奴らも気づくだろ、急げ!」
「敵陣地は正面の丘の反対側だ!」
「敵は居るか!?」
「見えないぞ!」
「とにかく撃て!制圧射撃だ!」
「撃ちまくれ!」
「よーし、出ろ!行け行け行け!!」
街道沿いの制圧に成功した小隊。だが・・・、
「おいおい・・・」
「こいつは・・・」
「まさか何も無いとはな・・・」
「大した情報だぜ、まったく」
指定の位置には何もなかったのだ。
陣地があって引き払ったという形跡もない。情報は完全に誤認だったのだ。
「・・・っていうのが今回の任務の話だね」
「まったく酷ぇ話だろ、命を掛けて奪いに行ったのはただの草地ってワケだ!」
「泣けてくるね、本当に。HAHAHAHA!」
「どうだい、この記事は?売れると思わねぇか?思わない、そうかい」
従軍記者に取材を受ける兵士。
この小隊の戦争はまだ終わらない。
え?俺?除隊まであと33日だよ。
・・・300日と33日だよ。
今回は遠路はるばる帯広からお越しいただいたギリーさん、伝説のHさん、そして撮影してくださった皆様方、ありがとうございました。
おかげで釧路でもナムナムできました。
あと伝説のHさん、武器持ち込みすぎですね(笑)
一人で叉銃を2つも作ってる人とか初めて見ました。流石ですわ。
また撮影会しましょう。宜しくお願いします。
今度は草が生い茂るころに・・・。
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ギリーさんに似てるな、、、から伝説さん登場で確信に
変わりました。劇団長の人脈さすがっスね。
写真の色が所により本物感アリアリで驚きました。
技法の一つですね。。
あと、寸劇要員ならあと二人程いますでよ(キリッ!)
いやはや、今回はご両名とも前泊までして来ていただいて恐縮でした。
写真の加工については手探りで色々やってみていますが、本物っぽさが出ているという事であれば成功でしょうか。
寸劇要員、大変ありがたいお申し入れです。
あっ、その時はナムかロシア装備でお願いします(ゲス顔)
建物の壁際から敵の状況を伺うシーン、
とても臨場感ありますね!! かなり恵まれたロケーションですね!
M16のチューリップハイダーの先に針金を巻いて草木への引っかかり防止などを施したらかっこいいかもしれませんよ。
いやー、そう言っていただけると大変ありがたいです。
特に半壊した倉庫付近では結構いい画が撮れたと思っています。
ハイダーに針金!その手がありましたね。
思えば、M60の部品が脱落しないように縛る為に使ったりしてましたね、針金。
この万能アイテムを見落としていたのは一生の不覚です。早速やってみます。